第2回 カナダでの新型コロナ ウイルスワクチンとインフルエンザ ワクチンin 2022|カナダで暮らす日本人のための医療お役立ちコラム

カナダ邦人医療支援ネットワーク「JAMSNETカナダ」提供

 カナダの冬も12月になり本格的な寒さになり始めました。この時期はクリスマスショッピングや冬休み前の学校の発表会や行事または忘年会などで大勢の人が屋内で集まる機会が多くなります。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のウイルスはこういった屋内の大勢の人が集まる場所で簡単に拡散され、多くの人々が発熱、咳、関節痛などを発症し、中には呼吸困難など重症化し死亡に至るケースもあります。特にお年寄りや慢性の基礎疾患のある方、妊娠中の方、お子様は注意が必要です。

 通常、毎年秋から冬にかけてインフルエンザが流行しますが、新型コロナウイルスによるパンデミックの間、感染対策の徹底(マスク着用、頻繁な手洗い、ソーシャルディスタンス)のお蔭かインフルエンザの大流行は過去2年間見られませんでした。現在では世界的に新型コロナウイルス感染者数が減少し、マスクの着用義務も集会制限もなくなった事、そしてインフルエンザの免疫を持たない人が増えている事で今年はインフルエンザ感染者数が著しく増加する可能性が高いと予測されています。*1

 長引くパンデミックの影響から、もう何度もワクチン接種は受けたくない!という民間のお声をよく聞きます。今まで通りの前述のような感染対策も大切ですが、ワクチン接種がインフルエンザや新型コロナウイルス感染症の重症化や合併症を防ぐ最も効果的な方法です。*2

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症に感染しているかどうすればわかりますか?

 新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの症状は非常に似ています。発熱、頭痛、喉の痛み、鼻水、筋肉痛などです。そのため症状だけでインフルエンザと新型コロナウイルス感染症を区別することはできません。その他にも呼吸器疾患を引き起こすウイルス感染症がたくさんあり同じ様な症状が出るため、検査を受けない限り判断は出来ません。

誰がインフルエンザの予防接種を受けるべきですか?

 生後6か月以上の全ての方がインフルエンザワクチンの対象になります。特に65歳以上の方、生後6か月以上5歳未満の乳幼児、妊娠中の方、糖尿病、心臓病など慢性の基礎疾患をお持ちの方又は長期介護施設関連の方々はインフルエンザからの合併症のリスクが高いためワクチンの接種が高く推奨されています。

どうして毎年インフルエンザワクチンが必要なのですか?

 インフルエンザウイルスは毎年変異するため、その年に流行ると予測されたウイルスに応じて作られたワクチンを接種する必要があります。またワクチン接種によって作られた抗体は時間と共に低下する可能性があるためです。

新型コロナウイルスのワクチンでインフルエンザが予防できますか?

 残念ながら2つの感染症ではウイルスの種類が全く違うため、新型コロナウイルスのワクチンはインフルエンザ感染を予防することは出来ません。またインフルエンザワクチンで新型コロナウイルス感染を予防することもできません。

新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザワクチンを同時に受けることは出来ますか?*3

 カナダでは12歳以上の方の場合、新型コロナウイルスワクチンと同時にインフルエンザワクチンの予防接種を受けることが出来ます。5歳から11歳の子供の場合、予防接種の国家諮問委員会(NACI)は副作用をより簡単に追跡できるように十分な注意を払って、新型コロナウイルスのワクチンを他のワクチンから2週間間隔をあけることを推奨しています。これらのワクチンによる副作用の増加についての懸念はありませんし、同様に効果がないという懸念もありません。どちらのワクチンでも腕が痛むことはありますが、全体的な副作用はどちらのワクチンでもとてもまれで安全性も高く評価されています。

ワクチンは本当に安全?

 インフルエンザ予防接種でインフルエンザになることはありません。同じように新型コロナウイルスのワクチンで新型コロナウイルス感染症になることもあり得ません。
 カナダ保健省によるワクチンの承認が検討されるまでには、安全性を第一に考え平均して約10年の研究開発が必要です。新型コロナウイルスワクチンは通常よりも迅速に開発されていますが、ワクチンの安全性は依然としてワクチン開発、承認、承認後のモニタリングのすべての段階で最優先事項です。世界的なパンデミックによって合理化されていますが、全ての段階を踏まえて承認に至っています。

Vaccine Safety | immunizecanada
https://www.immunize.ca/vaccine-safety

インフルエンザのワクチンはどこで接種できますか?有料ですか?

 インフルエンザワクチンはファミリードクター又はナースプラクティショナー、指定されている薬局(サービスは管轄区域によって異なります)、地域のパブリックヘルスユニットなどで無料で接種できます。
 今年の冬はウィンタースポーツの施設も再度オープンされ、色々なアクティビティにチャレンジ出来そうです。ワクチン接種で免疫を高めて楽しく健康に冬を過ごしましょう!

1: Influenza Information for Health Professionals – City of Toronto
2: Health Care Provider Qs & As: Influenza Immunziation Information for the 2022/2023 Influenza Season (gov.on.ca)
3: Flu (influenza): Get your flu shot – Canada.ca

【筆者紹介】 ケネディ恭子 NP-PHC, MN

 1994年語学留学の為渡加。2002年オンタリオ州York Universityにて看護学士取得、正看護師免許取得。ICU/CCU、Toronto Public Health 勤務を経て2013年にRyerson University(現:Toronto Metropolitan University)看護学修士課程修了、同時にプライマリーヘルスケアナースプラクティショナーの資格を取得。以来、トロント市内のコミュニティーヘルスセンターにて移民やマイノリティへの医療に従事。4児の母、大のゴールデンドゥードル好き。