Express Entryの今後
2022年5月19日、IRCCのDirectorが「現在Express Entryの大幅な変更についてカナダ議会で話し合っている」と述べました。Profileを登録し、Poolに入っている候補者の中から、IRCCの大臣が特定の職種における就労経験、学歴、言語能力を指定してITAを発行できるように働きかけをしているとのことでした。これはカナダにおける特定の職種の人手不足、経済回復に対応するための処置であると述べています。
例として挙げられたのは、今後カナダ経済の回復において、ITの分野で移民の受け入れをすることが不可欠だという結論が出た場合、IRCCの大臣がこの職種にターゲットを絞ったカテゴリーを発足し、そのカテゴリーの申請条件を満たしている候補者のうち、トップの人たち(何を持ってトップと指定しているかは不明であるが、恐らくCRSのスコアが高い順と思われる)にITAを発行することができる、というシナリオです。
変更が実際に反映されるまでは、議会での協議に加えてEmployment and Social Development Canada、州政府とのコミュニケーションも必要であるため、まだ時間を要すると述べています。しかしながら、この変更について、議員の中では懸念の声も出ています。
「具体的にカナダ経済のどの分野において移民の受け入れが必要であるか、という証拠を公に提示した上でIRCCの大臣がカテゴリーの発足を容認するようにしなければ、反対勢力の攻撃対象になるであろう」とのことです。いずれにしても、Express Entryは2015年1月に発足以来既に7年以上が経過しているプログラムのため、現状に応じた大幅な変更が期待されています。
Backlog状況
2022年4月29日付において、IRCCのBacklog(審査が遅延しているケース)は合計213万人であると発表されています。この内訳は、大きく分けてPR申請者が53万人、一時滞在ビザ申請者が120万人、市民権申請者が39万人です。PR申請者の内訳は、Express Entry、Family Class、H&C、Refugeeなどが挙げられます。
Backlogが発生したのは、2020年3月よりパンデミックに陥ったことで審査官の人員が不足したことが大きな要因です。ただ、IRCCは2022年7月初旬よりFederal Skilled Worker、Canadian Experience Class、Federal Skilled Trades ProgramのExpress Entry選考を再開すると述べているため、現在急ピッチで審査が進んでいると言われています。
弊社を通してPR申請された方で、審査に遅延が見られた方々(FSWやCEC + Valid Job Offer)も、最近になって審査が再開し、ケースが前に進んでいるという印象を受けています。
但し一番遅延が見られているのは、国外(Visa Post)におけるWork Permit申請、ならびに国内(Sydney, Nova Scotia)におけるWork Permit延長申請ですのでご注意下さい。
延長申請の審査期間は以前は1ヶ月から1ヶ月半程度でしたが、現在はなんと5ヶ月程度です。駐在員の方や、研究員の方でカナダに一時的に滞在して就労している方々にとっては、この審査期間は致命的と言えます。
Super Visa申請条件の見直し
現在、カナダ国会において「両親・祖父母対象のSuper Visaの申請条件を変更するべき」という議案が出されています。
Super VisaはPR或いはCitizenshipを保有している者の両親・祖父母が申請できる一時滞在ビザであり、2年間分ずつ発行されています。最大で10年間まで延長することができ、両親・祖父母がカナダを自由に出入国ができるビザとして、PR申請・承認までの期間の「つなぎ」として申請されている方が殆どです。
申請するためにはPR或いはCitizenshipを保有している者が、政府が定める一定の収入を得ていることを証明できること、そして両親・祖父母がビザの期間分カナダで健康保険を購入していることなどの条件を満たさなければなりません。
今回提案されている内容は次の2点です。
● 2年間ではなく、5年間分まとめてSuper Visaを発行
● 健康保険はカナダ国外で購入したものでも可とする(カナダ国内で購入する場合高額なため)
上記どちらも法案が可決しており、このルールが適応になるのも時間の問題とされています。今後Super Visaの申請を考えている方にとっては、朗報と言えます。
最後に
IRCCのルールは頻繁に変更になります。常に最新の情報を把握することは難しいと思いますので、ご興味のあるビザや移民申請に関しては、資格を有する弁護士や政府公認移民コンサルタントにご相談されることをお勧めします。