移民局大臣に対するカナダ首相の指令書|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報

移民局大臣に対するカナダ首相の指令書|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
  明けましておめでとうございます。一昨年に引き続き、昨年は移民法に関して様々なことが起こりました。本年もTORJAの読者の皆さんが「知りたい」と思われるのではないか、という内容について記事を書いていく予定でおります。どうぞ宜しくお願い致します。

 さて今回は2022年1番初めの記事となりますが、カナダのトルドー首相が2021年12月16日に発行した、移民局の大臣(Sean Fraser氏)に宛てたMandate の内容について解説します。

 Mandateとは日本語で「指令書、指示書、委任書」等の意味で、首相が移民局の大臣に対して「来年はこれらのことに重点を置いて移民法政策を進めていきなさい」と指示を出すレターのことを指します。このレターは毎年公に発表されておりますので、発表されたと同時にこの内容をしっかりと理解することによって、2022年度において移民・ビザ関連でどのような動きがあるか、ということの全体像を知ることができます。

 尚、Mandateは連邦政府(Federal)レベルの移民政策のみでなく、州(Provincial)における移民政策についても指令を出しています。

具体的な指令内容

 トルドー首相が移民局の大臣に指示した内容は以下となります。

  • 2021-2013年度のImmigration Levels Plan(年間40万人以上の移民者受け入れ)に則って、引き続き新移住者を受け入れ、カナダ経済の発展と回復に取り組む。
  • 命の危険にさらされている人たちに対する人道的なプログラムを更に拡張し、カナダ移住の手助けをする。
  • 外務省と協力し、アフガニスタンから移民者を受け入れる際に安全な方法でカナダに入国して家を構える手助けをする。難民受け入れ数を2万人から4万人に増加する。
  • COVID-19の影響により遅延しているケース(具体的にどのカテゴリーであるかは指定無し)の審査期間を短縮する。
  • 家族移民においてオンライン申請のプロセスを進め、カナダ国外にいる家族(配偶者・子供)に移民申請の審査期間中にビザを与えることを検討する。
  • カナダ市民権申請条件を満たしている者に対して、申請料を無料にする。
  • 労働局と協力し、外国人労働者が「信頼できるカナダの会社」を確認することができるシステムを開発し、Global Talent StreamやTemporary Foreign Worker Programにおいて2週間の審査期間を定着化し、延長申請の簡易化、そして外国人労働者に対してカナダ人雇用者が不当なことをした場合に報告できるホットラインを開設する。
  • 継続して州や地域管轄と協力し、外国人の海外の資格を認める制度を進めていく。
  • カナダの地域に貢献している、ステータスの無い労働者に対してどのようにして特別にステータスを与えるかということについて既存のプログラムを進展させていく。
  • ケベック州と協力し、どのようなルールを設けることで積極的にフランス語を話す移民者をカナダ全土において受け入れられるかということを検討する。
  • 不定期な移民プログラム(Safe Third Country Agreementなど)について主導する。
  • Express Entryシステムを通じて、外国人留学者、労働者が移民権を取得できるよう、既存のシステムから更にその機会を拡張する。
  • 医療分野など、労働者の不足が懸念されている分野において2,000人のスキルを要する難民を受け入れる。カナダ全土の雇用主やコミュニティーと協力してプログラムを進める。
  • 中小のコミュニティーで経済の発展のため移民者を必要とする地域をサポートするようなプログラムが確立していることを確認する。Provincial Nominee Programや、Rural and Northern Immigration Pilotなどのプログラムを更に発展させ、Atlantic Immigration Pilotを短期プログラムから通常のプログラムに移行する。

 以上になります。青字の項目は恐らくTORJA読者の方が特に興味を持たれる内容ではないかと思います。

今後の政府の動き

 Mandateが発行されたことで、今後大臣が具体的に2022年度のプランを組み立て始めます。そして数カ月後にはその内容が発表されることとなります。今後既存のプログラムの改訂、新しいプログラムの発足などが予想されますので、移民局の動向を注意深く見守りたいところです。