カナダ総選挙を終えて|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報

カナダ総選挙を終えて|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
 2021年9月20日にカナダ総選挙が行われ、トルドー首相率いるLiberal Party(自由党)が再選されました。今月はビザ・移民申請関連について選挙前にトルドー首相が掲げた公約、そしてこの選挙結果がこれから先どのように移民法やルールに影響していくか、ということについてお話します。

公約

 Liberal Partyの公約(Platform)の中に、下記内容が含まれていました。

  • 高いスキルを持つ移民者を多数受け入れ、カナダを更に強い国に育てる
  • Express Entryシステムにおいて、移民局の大臣自身が「カナダが必要としている」職種の就労経験がある者が高得点を得られるように変更することができる決定権を与える(NOCコードの指定など)
  • 短期労働者プログラムにおいて、就労現場の視察を強化し、外国人労働者が就労現場において雇用主からしっかりと条件を守って雇用されていることを確認する
  • Citizenship申請の申請料を無料にする(現在の申請料は$630)
  • COVID-19によって審査の遅延を受けているケースについて、12ヶ月以内に審査が終了するようにする
  • Express Entry以外の移民プログラムについても、オンラインのプラットフォームを公にリリースし、オンライン申請を促していく

 このうち、最後の公約であるオンライン申請用のプラットフォームは先月(9月)リリース済みです。

法律やルールを変更するためには

 総選挙に関するニュースを読まれた際、今回の選挙において「Liberal PartyはMajority(過半数)を達成できなかった」というフレーズを聞いた方は沢山いるのではないでしょうか。このフレーズの意味をご存知ですか?実はこの「過半数に届いているか否か」ということが今後トルドー首相にとってカナダの法律やルールを変更していくにあたってとても大切な鍵になるのです。

 カナダ政府は、合計338議席で成り立っています。そのうち、170議席を総選挙で達成できた場合、「Majorityに達した」とみなされ、その党が法律の改訂やルールの変更を野党の承諾を得ずに進めることが可能となります。Majorityに達さなかった場合、与党と野党が協力して政府の力を発揮していかなければなりません。従って必然的に与党としては総選挙の際にMajorityに達することが第一の目標となります。 2019年の総選挙においてLiberal Partyが157席を獲得して以来、様々な法律やルール改訂が行われてきたのは、Majorityに達していたことがその理由です。

今後の見通し

 今回の総選挙ではMajorityに達しませんでしたが、前回と同じくLiberal Partyが勝利を収めましたので、2015年以降に積極的に取り組まれてきた下記移民法に関する政策は引き継がれると言われています。

  • パンデミック収束後の経済復旧に備え、高スキルを要する移民者を多数受け入れる
  • 難民者の受け入れ増加
  • カナダ国内と国外で離れ離れになっている家族の受け入れ増加
  • 短期労働者ならびに留学者を積極的に受け入れる

 但しアフガニスタン紛争に関する難民の受け入れや、パンデミック収束後の対応等、新たな問題の取り組みについては与党と野党が必ずしも同一の意見を持っているわけではないため、今後は慎重に政策を練り直していく必要があるのではないかと言われています。

 トルドー首相の内閣が恐らく1ヶ月程度で発表となるため、その時点で彼が移民局の大臣を誰に指名したかが判明します。そして首相はそれぞれの大臣にMandate Letter(首相から議員に対する委任レター)を発行します。そのレターには大臣が何を重点にして移民政策を進めていくべきかということが記述してあるのです。

 2022年初旬(恐らく3月までには)2022年から2024年間における「Immigration Levels Plan」が発表されます。このプランを通して年毎の合計移民受け入れ人数、ならびに個人移民・家族移民・難民移民・人道的理由における移民など、カテゴリー別の受け入れ人数が発表されることとなります。Liberal Partyは既に毎年40万人以上移民者を受け入れると発表していますので、恐らくこの合計人数は変わらないであろうと言われています。

所見

 パンデミックに陥ってから既に多数のPublic Policyが発表されています。今後もExpress Entryのルール変更が突然発表されたり、その他のカテゴリーにおいて突然受け入れが始まったりなど、今まで起きなかったことが起こる可能性も無いとは言えません。最新ニュースを熟知している移民弁護士や政府公認移民コンサルタントに早めにコンタクトし、プランニングをすることを強くお勧めします。