Truth and Reconciliation(真実と和解)というフレーズを皆さんは聞いたことがありますか?これはカナダ政府が、120年以上にわたって先住民族の子供たちに対して行った同化政策によって差別や虐待が行われた事への謝罪と補償活動を意味します。
カナダ政府の補償活動の一つとしてTruth and Reconciliation Commission(TRC:真実と和解の委員会)が設立されました。Universities Canadaは、カナダの各大学がどの様に「Truth and Reconciliation」活動を進めているのかを調査しました。今回は2019年に行われた調査結果の中から気になったことをお伝えしたいと思います。
1.Truth and Reconciliationに向かって
TRCの助言に答えるよう、各大学では様々なカリキュラムの見直しや大学教育の拡充を開始しました。例えば次のような教育改革が実行または予定されています。
●80%以上の大学では、教職課程にResidential school(先住民寄宿学校)、Treaties(先住民族条約)、カナダ先住民族への貢献などを学べるよう取り入れた、または導入予定
●およそ2/3の大学では、法学部で先住民と法律を学ぶクラスを必須科目にし、医学部や看護学部では先住民の健康問題などを必須科目に取り入れること
●90%以上の大学では、先住民の学生への資金援助(奨学金または援助金)を提供予定
●75%の大学では、先住民の学生に対して勉強または大学生活などへのカウンセリングサービスを提供している
●30以上の先住民族語(イヌイット語など)を学べるクラスを開講させ、その70%は先住民コミュニティーが関わり、また60%は先住民コミュニティーの年配者や長老の指導を得ること
Universities Canadaの調査結果では、各大学はリーダーシップ、政策、ティーチングやリサーチに先住民族の専門知識を、またSystemic Barrier(制度的差別問題)に取り組むために大学内での改革を推進していくことを表しています。例えば、87%の大学では大学内のリーダーシップに先住民族を表す機会を増やすこと、70%の大学ではティーチングやリサーチの手法に先住民族の知識を取り入れることなど、を推進していくとしています。
2.Indigenous House at U of T Scarboroughキャンパス
私が所属するU of T Scarboroughキャンパス(UTSC)では、先住民の年配者たちや地元コミュニティーの方々と一緒にキャンパス内にIndigenous House(先住民族にちなんだハウス)をデザインし建設予定です。
Vice-president and principal of UTSCのTettey Wisdom氏は「Indigenous Houseは先住民の土地、文化、伝統、知識、また彼らの領土にあるこのキャンパスに敬意を表すことになるでしょう。また、このような人々が集まれる場所を作ることによって、異文化間の話し合いや学びをサポートし、パートナーシップを促し、先住民コミュニティーと公平、信頼、理解、リスペクト、そして和解できる関係を築くことが私たちUTSCの包括的な目標でもあります」と述べています。私はIndigenous Houseが完成する日を楽しみにしています。
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