3月を境にCOVID-19がカナダでも深刻化し、トロントにおいては3月中旬の時点で、全ての公共施設が閉鎖され、企業は職員に在宅勤務を促し、飲食店はテイクアウトのみの営業形式に切り替わり、病院・スーパーマーケット・銀行・公共交通機関を除いては、都市機能がシャット・ダウンされた状況となってしまいました。
COVID-19及びオイル価格下落による経済の著しい低迷を受け、カナダ政府及びカナダの地場銀行はいち早く苦境に太刀打ちできるよう様々な救済措置を発表し、個人並びに法人のお客様の精神的・経済的負担を少しでも減らせるよう全力でサポートしているというのが現状です。
今月は、これまでに(3月19日時点)政府機関が発表した金融政策に関する一部のまとめと個人のお客様、それから法人のお客様に対する融資関連の情報を共有させていただきます。
【政府機関による一部の経済措置】
- 3月16日よりカナダ中央銀行がオーバーナイト金利を0・75%まで引き下げ
*オーバーナイト金利とは、銀行間のお金の貸し借りの際に適用される金利のことで、中央銀行が設定します。 - カナダ政府はBusiness Development Bank of Canada及びExport Development Canadaを通して、カナダ企業に対して100億ドルの追加融資を決定
- Office of the Superintendent of Financial Institutionsは6大地場銀行に対して、融資を提供する際に必要な自己資本バッファーを2・25%→1%へ引き下げ。これにより、3000億ドルの追加融資の提供が可能に
- カナダ政府は、自己隔離中の方がEmployment Insurance Sickness Benefitsを受け取る際に適用される1週間の待期期間を免除
- カナダ政府は、COVID-19による打撃を受けている企業・雇用主に対して、ビジネス及び雇用者を助成すべく、Work Sharing Programの強化のために1200万ドルを投入
【6大地場銀行の特別対策】
*銀行によって対策内容に差異がありますので、詳しい内容に関してはご自身の銀行にお問い合わせください。
- 個人住宅ローン返済を最長6カ月先まで延期
- クレジットカードの最低支払額(Minimum Payment)を最長6カ月先まで延期
- 個人自動車ローン返済を最長6カ月先まで延期
- ビジネスローンに対して、金利払いのみを最長6カ月間適用
- 法人用短期運転資金枠の限度額を暫定的に10%引き上げ
現時点でパブリック向けに発表された地場銀行の対策は、お借入れのあるお客様に重点がおかれています。新規のお借入れを申請する際の条件や規定に関する特別な優遇措置はまだ発表されていませんが、お取引のある銀行の担当者や支店に問い合わせることをお勧めします。もし現在お借入枠がなく、家賃やその他必要な支払いの延長が見込めない場合は個人でも法人のお客様でも、早い段階でOverdraft Protection(一定金額までの当座借越を許容する与信枠)或いは短期運転資金枠を検討されることをお勧めします。
銀行においても政府側の勧告を受け、COVID-19の拡散防止のために一部の支店を閉鎖したり、営業時間の短縮を始めましたが、カスタマー・サポートは24時間繋がりますし、オンライン及びモバイル・バンキングでほとんどのトランザクションが行える時代です。厳しい状況ではありますが、皆さまがどうか焦ることなく、平常心を保って日々を過ごせることを祈っております。