ファイナンシャルアドバイザーが解説!カナダの保険・投資商品:第1回「RESPについて」

 RESPはRegistered Education Savings Planの略で、日本語にすると登録教育貯蓄プラン、または税繰延教育貯蓄計画という意味です。これを読まれた方は「節税対策を兼ねた教育資金の貯蓄プランだろう」と思われるでしょう。それが正解です。そして、このプランは節税対策のみでなく、政府からの補助金が与えられるので、私たちの振込額プラス政府からの補助金(CESG/The Canada Education Savings Grant)または(Canada Learning Bond)が積み立てられ、RESPという非課税枠の中で、資金が増えていきます。その補助金の額は、現在では、最大7,200ドルです。言い換えると、政府からの補助金は「Free Money」なので、受取らなければ、税金を払いすぎていることになります。

 カナダの税制の手段の一つとして、累進課税があげられます。簡単に言いますと、収入の多い人が、税金を多く払うというシステムです。そこで、節税対策の一例として、収入の多い家族が、収入の少ない家族に収入を移す方法や、収入の多い時期の収入を収入の少ない時期の収入に移すという方法がとられます。

 例えば、親が子供の教育資金の貯蓄のために、親の名義でファンドに投資をすると、投資利益に対して、親の収入に応じた税率で、税金を払います。しかも政府からの補助金を受取ることができません。RESPを使いファンドに投資をした場合には、その投資利益の税金は繰延べられるので、政府からの補助金が加算され、資金はより早く増えていきます。

その後、子供が大学に通い始めたときに、子供が学士資金として、その貯蓄から引出すことになり、子供の収入に応じた税率で税金を払うことになります。多くの家庭では、親は働き盛りで収入も多く、税率が高いのに対し、多くの学生は、収入が少なく、税率が低いので、税金を節約することができるのです。

 ところで、「子供が大学に行かなかった場合は、どうなるの?」と思われる方がいると思いますが、この場合、政府からの補助金をすべて返す必要があります。そして、ファンドの投資利益に対する税金を支払う必要もあります。他の選択肢としては、親のRRSPに移すこともできます。「どこの家庭にも適用されるいいプラン」というものはないかもしれません。どこの家庭の経済も違い、家族関係も違うので、金融商品を選ばれる際には、都度、ファイナンシャルアドバイザーに相談し、全体を検討した上で、プランを決めることをお勧めします。