
11月1日、今年で第四回を迎える「日本茶祭り」が開催される。昨年は約1400人が来場し、回を重ねるごとに、日本茶を楽しむだけでなく、お茶を通じて人と人、日本文化とコミュニティーがつながる場へと育ってきた。
今年最大のハイライトは、日本から「ふじのくに山のお茶100選」の生産者らが、この祭りに合わせて来加すること。静岡の山間部で育てられた個性豊かな銘茶を、生産者自身がトロントで紹介する。さらに、第一回から祭りを支えてきた手揉み茶の匠・比留間嘉章さん、和菓子職人・村田崇徳さんも今年再び参加。裏千家による茶道、前田典子先生の書、茶花をはじめとする文化体験も会場を彩る。
1400人が来場。「また参加したい」がつないだ第三回


第三回となった2025年は、約1400人が来場。3年連続で足を運ぶ人も現れるなど、日本茶祭りがトロントの秋のイベントとして少しずつ根づいてきたことを感じさせる一日となった。
会場にはお茶をはじめ、和菓子や食、雑貨などのベンダーが並び、手揉み茶や和菓子のデモンストレーションも実施。毎年人気の茶道席、書道体験、抹茶茶碗の手びねり陶芸体験など、日本茶を入口にさまざまな日本文化に触れる機会が用意された。


茶道席では、裏千家による和室でのお茶席に加え、2階に椅子に座ってお点前を楽しむ「立礼」の席が登場。前田先生率いる書道カナダは、去年に引き続き、来場者の方への書道体験コーナーを設けており、「禅語」をしおりにして持ち帰ることができる。一日を通して列が絶えない人気のコーナーだ。


ベンダーからは「また参加したい」、ボランティアからも「またお手伝いしたい」という声が集まり、主催者の吉田桃代さんは、回を重ねるなかで「ひとつのコミュニティーができあがってきているような気がしています」と振り返っている。
静岡の山からトロントへ。「100銘茶」がやってくる

「ふじのくに山のお茶100選」は、静岡の茶に適した気候風土と、先人から受け継がれてきた高い技術によって生み出される個性豊かな銘茶。
緑茶、烏龍茶、紅茶など、外観、香り、味にそれぞれ特徴を持つ、静岡ならではのお茶の中から、静岡県と静岡県中山間100銘茶協議会が開催する銘茶コンテストで選ばれたお茶だ。
今年は、そのお茶をつくる生産者らが日本からトロントを訪れる。山間部という厳しい自然条件のなか、それぞれの土地の気候や地形と向き合いながら、情熱をもってお茶を育てているエキスパートたちだ。一杯のお茶の向こうには産地があり、生産者がいて、それぞれの物語がある。今回はその本人たちがブースに立ち、お茶の試飲やゲストスピークを行う予定だ。
一日を通してブースで試飲できるほか、よりじっくり味わいたい人には「Shizuoka Premium Tea Tasting」も用意される。100銘茶のお茶を100%取り入れたワークショップで、生産者の話とともに、それぞれのお茶の個性を楽しむことができる。
まずは買わずに一周!? 試飲カップを片手にお気に入りの一杯を探す
日本茶祭りに来たら、まず楽しみたいのがお茶の試飲だ。入口で来場者一人ひとりに試飲カップが渡される。そのカップを片手に、それぞれのお茶屋を巡って飲み比べていく。
同じ「玄米茶」でも、お茶屋によって茶葉と玄米のブレンド具合は違い、香りや味わいも変わってくる。いくつものお茶を一度に比較できること自体が、この祭りならではの醍醐味だ。
主催者・吉田桃代さんおすすめの“攻略法”は、一周目は試飲に徹すること。

まずは会場をぐるりと回っていろいろなお茶を飲み、二周目で「これだ!」と思ったお茶を購入する。普段から日本茶を飲んでいる人も、まだ詳しくない人も、自分の好みを探しながら会場を巡ってみてほしい。
「日本茶祭りがお茶が好きな人にとって、お茶の世界にもっともっと触れられる機会であること。そして、日本茶ファンがもっともっと増えるきっかけになってくれたら」
そんな思いも、この試飲体験には込められている。
日本でもなかなか見られない比留間嘉章さんの「手揉み茶」
第一回から日本茶祭りを代表するプログラムのひとつとなっているのが、茶工房比留間園・比留間嘉章さんによる「手揉み茶」のデモンストレーションだ。
昨年も日本から来加し、生茶を人の手で揉み上げていく技を披露した。機械製茶が一般的となった現在、日本にいても実際の手揉みを見る機会は決して多くない。

毎年、来場者や参加ベンダーから寄せられるコメントのなかでも、「手揉み茶のデモンストレーションがよかった」という声は特に多いという。

茶葉を揉み、形を整えながら、一本一本の葉に仕上げていく。普段何気なく急須に入れている茶葉が、どのような技術によってつくられているのか。その工程を職人の手元まで間近で見ることができる。
完成した一杯を飲むだけでは分からない、日本茶づくりの奥深さに触れられる時間だ。
一つの和菓子が出来上がるまで
村田崇徳さんの練り切り実演
日本茶があれば、やはり和菓子も欠かせない。第一回から日本茶祭りに参加している和菓子職人・村田崇徳さんも、今年再び日本茶祭りに合わせて来加する。


昨年は和室前で、練り切りのデモンストレーションを披露。村田さんの手の中で、和菓子が少しずつ姿を変え、季節や自然を表現した一つの作品へと仕上がっていく様子を、来場者は間近で見ることができた。
日本茶と和菓子。味の組み合わせだけではなく、季節を感じ、目で楽しみ、手仕事の美しさに触れることも、日本のお茶の時間を形づくってきた文化のひとつだ。


毎年完売の人気プログラム
裏千家による「茶道体験」
お茶から広がる日本文化を実際に体験できることも、大きな特徴のひとつだ。なかでも毎年高い人気を集めるのが茶道体験。チケット販売開始後、早々に売り切れてしまう人気プログラムだ。
今年も裏千家トロント協会による茶道のデモンストレーションが、和室と2階の立礼席で行われる。昨年から登場した立礼席は、御園棚を用い、椅子に座ってお茶を楽しむ形式。畳の和室とはまた違った茶席の趣を体験できる。
お茶を点てる所作、茶碗、和菓子、花、そして掛け軸。一服のお茶をいただくまでの空間そのものを味わうのが茶道であり、日本茶祭りではその世界をトロントで体験することができる。


茶席をつくる「書」 前田典子先生の作品とともに
今年も茶席には、トロントを拠点に長年活動してきた書道家・前田典子先生の作品が掛けられる。そこに書かれた禅語とその意味も、茶席を訪れた来場者に紹介される。

前田先生は2026年春の叙勲で旭日双光章を受章。長年にわたりトロントで日本文化を広めることに尽力してきた。日本茶祭りとの関わりも深い。前田先生がこの祭りのために書いた「円相」と「日本茶」の書は、会場の展示だけにとどまらず、日本茶祭りを象徴するデザインにもなっている。

その「書」をもとに、娘の前田なつきさんと夫のコリンさんが手掛けたのが、日本茶祭りのオリジナルトートバッグだ。今年もこのトートバッグが入口で配られる予定だ。

また、茶席のチケットを取れなかった人も、2階では前田先生の書道ギャラリーを鑑賞できるほか、無料の書道体験コーナーも予定されている。
茶室を静かに彩る「茶花」にも注目
茶席に入ったら、ぜひ花にも目を向けてほしい。日本茶祭りを継続して支えている茶花の杉野綾先生は、茶室と立礼席の茶花を担当している。茶花は、華やかに飾るためだけのものではない。その季節、その日の茶席に合わせて選ばれた花が、掛け軸や茶道具とともに空間をつくり上げている。
80%の「いつもの顔」と20%の「新しい風」

お茶の生産者、販売者、和菓子職人、茶道家、書道家、茶花、そしてさまざまな日本文化を伝えるベンダーたち。それぞれ活動する場所も、扱うものも違う。それでも日本茶祭りの日には、一つの場所に集まる。


主催者の吉田さんは、日本茶祭りをきっかけに文化団体同士の交流も年々活発になっていることに触れ、そこに関わる人たちに共通しているのは「日本が好き」「文化が好き」「お茶が好き」という純粋な思いなのではないか、と語っていた。
今年、参加ベンダーの約80%がリターンベンダーであることは、そのつながりが第四回まで続いていることを物語っている。一方で、新しい20%が加わることで、そこにまた新しい出会いが生まれる。そして今年はさらに、日本から100銘茶の生産者たちが加わる。
トロントで日本茶を伝えてきた人たちと、日本で実際にお茶をつくる人たち。そして、そのお茶を飲む人たちが、一つの会場で出会う。
新しい顔も続々。今年注目のベンダーをチェック
今年の日本茶祭りでは、お茶はもちろん、抹茶スイーツやベーカリー、さらには旅行まで。それぞれ異なる切り口から、日本茶の楽しみ方を広げてくれそうだ。
なかでも注目したい新規ベンダーのひとつが「Mika」。日本のお茶農家を直接訪ね、生産者から仕入れたお茶を販売する。日本人夫婦で活動し、陶芸を手掛けるご主人による作品にも注目したい。
同じく今年初参加となる「Knot Bakery」は、日本人女性が手掛けるベーカリー。丁寧につくられたパンや焼き菓子とともに、日本茶との新しい組み合わせを探してみるのも楽しそうだ。
抹茶を中心としたお菓子を届ける「Ikigai Matcha Bakery」も新たに参加。世界的に抹茶への関心が高まるなか、トロントで広がる新しい抹茶の楽しみ方にも注目したい。
さらに今年は、旅行業界から「IACEトラベル」が初参加する。日本へのお茶をテーマにした旅へのニーズも高まっているという。当日はブースで、お茶好きだからこそ訪れてみたい産地や体験について、ぜひ自分たちの「声」を届けてみてほしい。
そして今年の大きなハイライトである「100銘茶」も、お茶ベンダーとしてブースを構える。日本から来加する生産者らと直接話しながら、静岡の山間部で育てられたお茶を味わえる貴重な機会となる。
日本茶祭りを支えてきた、おなじみの顔ぶれも

もちろん、日本茶祭りのベンダーエリアを支えるのは新しい顔ぶれだけではない。
静岡県出身の大崎律子さんがオーナーを務める「Hokusan Tea」は、今年も参加。大崎さんは今回、静岡県側と日本茶祭りをつなぐ橋渡し役を担い、その縁が100銘茶の来加へとつながった。ブースでは、カナダの抹茶ファンから支持を集める「Niju Matcha」を販売する。

「茶工房 比留間園」のブースでは、手揉み茶の匠・比留間嘉章さんの農園のお茶を購入できる。日本茶祭りで毎年人気を集める手揉み茶のデモンストレーションを見るだけでなく、そのつくり手のお茶を実際に持ち帰ることができるのも楽しみのひとつ。なかなか手に入らない比留間さんの手揉み茶を購入できる機会にも注目したい。


レストラン「Nakamori」は、こだわりを詰め込んだデラックス弁当から、気軽に楽しめるお弁当まで、幅広いラインナップを用意。お茶を飲み歩いたあとの食事にも立ち寄りたいブースだ。
「伊藤園カナダ」のブースでは、新発売のフレーバー緑茶を紹介する予定。さらに、日本の食材を求めるトロント在住者にはおなじみの「平成マート」も3回目の出店となり、伊藤園とのタイアップによるお茶セット商品の販売を予定している。
運営スタッフとして日本茶祭りを支える「時田工房」のゆきさんも、2階にブースを構える予定だ。
ここで紹介できるのは、数あるベンダーのほんの一部。毎年戻ってくるおなじみの店があり、そこに新しい店が加わっていく。それぞれのブースを巡り、店主やつくり手と話をすることも、日本茶祭りの楽しみ方のひとつだ。


今年初めて出会う一杯や味を探しながら、ぜひ会場をゆっくり巡ってみてほしい。
イベント情報

第四回 日本茶祭り

日時: 2026年11月1日(日) 10:30 am 〜 6:30 pm
場所: カナダ日系文化会館(JCCC)
先着1500名様にオリジナルトートバッグをプレゼント!
チケット $20+tax
Instagram: nihonchacanada
詳細: https://www.nihonchacanada.com
2026年度「日本茶まつり」参加ベンダーリスト表
*アルファベット順

Cassis Bake
cassisbake.ca
Chris Sora Pottery
茶工房 比留間園
http://gokuchanin.com
Copper Tea
coppertea.ca
Flower Bell
Flowerbell.ca
foonie
@foonie.ca
Four Seasons Tea Co.
https://fourseasonstea.com/
Furusato International
@furusatointernational
Genuine Tea
genuinetea.ca
Groupe Sakao inc
ojapanesetea.ca
Happy_handcrafts
https://saeko-medlock.square.site/
Hare. & Ke.
@hare.andke.mizuhiki
Heisei Mart Inc.
heiseimart.com
Hokusan Tea Canada
www.hokusan.ca
Honoka Japanese Dessert Cafe
https://honoka.ca/
IACE Travel
https://www.iace-travel.ca/
ICHA CANADA INC.
ichateashop.com
Ikigai Matcha Bakery
https://ikigaimatchabakery.netlify.app/
Isabella’s Donuts
https://isabellasdonuts.com/
ITO EN (North America) INC.
https://itoen.comhttps://itoen.com
itohen
@itohenhandmade
Kawagiri Tea
https://kawagiri.com/
Kingyo Food Corp.
https://linktr.ee/kingyotoronto
Kintsugica
https://introjapan.ca/kintsugi/
Knot Bakery
https://www.knotbakery.ca/
Matcha House
matchahousetoronto.com
MIKA
https://www.mikafleur.com/
Mofu
https://nagisa19900427.wixsite.com/mofujapanesebakery
Momo Tea
www.momotea.ca
MON K PATISSERIE
www.monkpatisserie.ca
Musoshin Ramen
www.musoshin.com
NAGAMOCHI SHOP
Nagamochishop.com
NAKAMORI
www.nakamori.ca
Natural Japaneats
naturaljapaneats.ca
Orika
www.orikacanada.com
Salon de Tea +Kimono
https://salondeteapluskimo.wixsite.com/teapluskimono
Secret Teatime
secretteatime.com
Taotealeaf
Taotealeaf.com
Tea Guild
https://www.teaguildofcanada.ca
Tokita Kobo
https://www.tokitakobo.com
Tokusen
www.tokusen.store
Toyah kimono
toyah-kimono.square.site
Yakitori Marketing Corp. /Zakkushi Group
https://zakkushi.com/zakkushi/queen/
Yururi Crafts
@yururicrafts
100 Meicha
https://100meicha.com/

