ブリティッシュ・コロンビア州産ワインと出会って人生が変わったという中沢さん。ただし、ワインは全くの未知なる世界で、今から頑張ってもどうにもならないんじゃないかという思いがあったという。それでも、失敗しても何かが減るわけでもないし、ましてや死ぬことなんてないと挑戦することを選んだ。いまの自分を見つめ直して、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」の発想が、大胆な行動に勇気を与えてくれたと語る。

びっくり！バーン！！
と頭から雷に打たれたような衝撃

　私は2019年8月の終わりにワーキングホリデーでバンクーバーに来ました。その時は目的や目標は特になく、子どもの時から海外生活になんとなく憧れがあったので体験したい、そのくらいの軽い気持ちでした。

　あるとき友人とお家でワインを飲んだ時のことです。もともとお酒を飲むのは大好きでしたが、当時はワインの知識はさっぱり。だから、その時も何も気にとめず、軽くひと口飲んだんです。すると、びっくり！バーン！！と頭から雷に打たれたような衝撃が走って「このワイン美味しい！今まで飲んできたワインと全然違う！」と感動しました。それこそがBC州産ワイン（オカナガンのワイン）だったんです！

　それからすぐにカナダのワインのことを調べ、カナダワインの輸出入をされている滝澤修さんと繋がりました。しかし、その時点で私のビザの残り期間が残り少なく、パンデミックの影響も重なったため、当時募集のあったROワーキングホリデー制度に一縷の望みをかけ、泣く泣く日本へ帰国しました。

小さなターニングポイントの繰り返し

　私は帰国後も滝澤さんとコンタクトをとり、彼が日本に来られるタイミングで私のいる群馬県に来てもらい、カナダワインのセミナーを開催する計画を立てました。私は地元・高崎のワインショップ兼スクールへ突撃。ダメもとで手作りの企画書を見せて話をすると、なんと協力してくださることになったのです。そして、コロナ禍でのワイン会の開催は不安がありましたが、お店の協力のもと滝澤さんを講師に迎え、「北関東初」となるカナダワインセミナーを無事成功させることができました。

　パンデミックにもかかわらず奇跡的にも2021年2月にROワーキングホリデーが当選・発給され、再びバンクーバーに戻って来ることができました。2度目のワーホリが始まってからは、ワインのキャリア形成の準備の一部としてレストランサーバーとして働き始めました。働きながらワインの勉強を続け、9月に初めて私自身がホストを務めるワイン会を開催することができました。

オカナガンワインに出会って生まれた新たな夢

　一方で、何か自分には足りないと感じるようになり、そんな閉塞感を打破するため、ワインの教育機関であるWSETというワインの資格に挑戦し、基本を学ぶことができ、自信にもつながりました。

　そんな時にワイン会の問い合わせをもらい、開催してほしい人がいるならやろう！と企画した今年4月に第2回目のワイン会は即満席。私も知識と楽しさの両方を提供できる場を作ることができ嬉しかったです。現在はBCワインだけでなくスペインやイタリアなどの世界のワインも取り入れ、広く深いワインの世界を紹介しています。

　いまの私の夢は、ワインを通して人々を幸せにできる空間をつくることです。

　でもそれって実はいろんな場所でできるんですよね。たとえば、レストランでお客様にワインとフードのペアリングをコーディネートしてあげる、ワイナリーでお客様が好きそうなワインをオススメしてあげる、自分でワイン会を開いてワインを楽しむ場を作る、美味しく楽しくワインを飲みたいというお客様に対してそれを楽しく提供するなど。

　それでお金をいただけるなら、どんなお仕事でも挑戦したいと思っています。そして、ワイン会の活動は、どんな仕事をしていてもライフワークとして続けていきたいですね。

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