ONE OK ROCK TAKAさんインタビュー

スペシャル・インタビュー ONE OK ROCK ボーカル TAKAさん

ONE OK ROCK TAKAさんインタビュー

ONE OK ROCK

2005年に結成。エモ、ロックを軸にしたサウンドとアグレッシブなライブパフォーマンスが若い世代に支持されている。2007年にデビューして以来、全国ライブハウスツアーや各地夏フェスを中心に積極的にライブを行って来た。2010年に日本武道館、2012年に横浜アリーナ2デイズを開催するも即日完売。2013年は6枚目となるアルバム『人生×僕=』を発売、過去最大規模となる全国6カ所11公演10万人を超えるアリーナツアーを開催した。そして日本のみならずアジア、ヨーロッパの海外ツアー、アメリカでのフェスや単独公演を成功させるなど世界規模のバンドとなってきている。


カナダライブ3回目となるONE OK ROCK。今回は新アルバム「35xxxv」を引っ提げてのライブ。新アルバムは全レコーディングをアメリカで行い、9月25日には全歌詞英語バージョン「35xxxv Deluxe Edition」がアメリカで発売開始された。前回のトロントを含む北米ツアーや、全米や、トロントも回ったWarped Tour(北米のロックミュージシャンが集まる約3ヶ月間のツアー)を通して、世界で進化し続けている。今回はライブ前のTAKAさんに今回のツアーにかける思いや新たなONE OK ROCKの挑戦について伺った。

今回3度目のトロントとなりますが、何か新たな発見はありましたか?

過去2回はあまり街をゆっくり見る時間もなかったのですが、今回はホテルの周辺だけでも回る事が出来て楽しかったです。ヤングストリートでメンバーと一緒に買い物をしました。

今回のライブは新アルバムを引っ提げてのツアーですが、前回のライブとはONE OK ROCKの中でも意味合いは違いますか?

以前までのライブは今まで自分たちが日本で活動してきた中での延長線上、という意味合いが強かったですが、今回は新たにアメリカのレコード会社と契約して英語バージョンのアルバムも作り、初めから世界を視野に入れていたので、気持ち的にはまったく違います。前回はYouTube等を通して自分たちを既に知っている人たちに向けてのライブ、今回は今まで自分たちを知らなかった人たちに向けてのライブという意味合いも強く、ある意味新人のような気持ちで挑んでいます。

今回のアルバム作成やライブツアーにあたって、昨年の北米ツアーやWarped Tourの影響はありましたか?

Warped Tourは僕たちにとって大きなきっかけとなりました。たくさんの海外のバンドと仲良くなれて、色々な国の観客の皆さんとも出会い、その中でまた世界に向かって頑張っていこうと、気持ちを新たにすることができました。

今回の新アルバムは今までよりさらに洋楽の要素が強くなったり、「Paper Planes」のように海外のアーティストとフューチャリングしたりと、新たな試みがたくさんありました。新たな挑戦をする中で、何かバンドの中でも葛藤のようなものはありましたか?
ONE OK ROCK TAKAさんインタビュー | VANJA

僕も1人のリスナーとして、好きだったバンドの音が変わってしまったりすると少なからずがっかりしたり、前の方が好きだったなと思ったりする瞬間も当然あります。そういったファンの心理を僕自身も理解しているので、僕たちが変わっていくことへの葛藤よりも、ファンの皆さんに対しての葛藤がありました。

ただ、バンドというのは生命体で自分たちももっともっと良くなりたい、という気持ちの上、毎回アルバム毎に新たな事に挑戦していっていますし、常に成長していきたいと思うので、そこは自分たちの気持ちを優先させています。僕たち自身は変化もありきでONE OK ROCKだと思っていますが、ファンのことを考えると本当に難しいところではありますよね。

今回のアルバムは全てアメリカでレコーディングされたとのことですが、海外の方と一緒に仕事をしていく中で何か影響を受けましたか?

アメリカと日本と比較すると仕事に対するパッションの違いはあると思いました。日本や韓国などアジア圏の国では寝ないで仕事し、なんでも完璧にしようとするのが普通だったりしますが、アメリカは悪くいうとすごく雑で、良くいうとすごくリラックスしながら仕事をこなしているなという印象です。カナダはまだよくわからないですが、ノリ的にはゆっくりした方が多いのではないかな?と感じています。そういったところがすごくいいところだなと思っています。ここにいて自分たちも全く気が変にならないというか、少しリラックスしたモチベーションで日々過ごしていくことが人間的にも良いのではないかと思いますよね。

ライブパフォーマンス上でも、今までは全力で、死に物狂いで…って感じだったのが、力を入れるところ、抜くところとメリハリをつけてやることによって、自分たち自身をコントロールできるようになったかなと思います。

この1年半を振り返ると海外ツアー、新アルバム作成、そして再海外ツアーと実に目まぐるしい一年半だったのではないでしょうか?

何でも新しいことに挑戦するときは怖いですし、不安ですよね。実際に何をやればいいかというのは分かっていても「何をすればいいのか」という理解力がなければその分時間は過ぎていくだけですし。例えば、今自分が白色で、今後赤色になりたいと思っている時、どんな色を足していったら、赤色に近づけるかは、みんな潜在的になんとなく分かっているはず。じゃぁ、赤色に近づくために何をしたらいいのか、というのを1つずつ自分の中で答えを出していき、徐々に赤色に近づいていく。その過程の中で、躊躇したり理解力がなかったりするとその分、スピード感が落ちていってしまいます。僕たちはバンド全体で、そのスピード感が落ちていかないようにとても気をつけています。一人がへばっていたら他のメンバーが先に進んで、引っ張っていく。すごく大変ではありますが、望んでやっていることなので体力が続く限りそうやって進化していきたいですね。

素晴らしいですね。そこまでこの短期間で有言実行できる、その原動力は突き詰めると何でしょうか?

僕らでいうと、「これしかない」ですし、好きだから出来ているという感じです。また仲間がいてくれるというのも大きいです。メンバーはもちろんスタッフやマネージャーなどみんながいるから、進んでいけることに間違いないですし、「いいチーム」でいることが出来ているのが僕らにとっての最大の武器です。

チームの中ではそれぞれ役割は決まっているのですか?

いつも僕が大全速力で先陣を切って突っ走ります。メンバーの中にはスピードダウンしようという人もいれば、何も言わずについてきてくれる人もいたり、それぞれが違ったタイプでうまくバランスが取れていると思います。僕が何も考えずに勢いだけで突っ走ってしまうときは、マネージャーやギターのTORUが抑えてくれたりしています。

バンドの5年10年後、イメージされるものはありますか?

僕は正直35歳までが勝負かなと思っています。35歳までどれだけ自分たちが想定しているゴールを超えていけるか。やっていることは半分アスリートのようなものなので、体力的な限界も当然あるでしょうし、そういった意味で自分たちのピークをうまく持っていきたいですね。

ずばり、ONE OK ROCKにとってゴールとは何でしょうか?

僕らがやりたいことって今まで僕らに対して興味がなかった人たちに対して、同じ距離からどれだけ影響を与えられるかって事かなと思っています。なので、良い意味でライブに来るお客さんの層がこれからどんどん変わっていけばいいと思っていますし、ライブに出向く土地ごとに新たなお客さんが増えていくような、そんなバンドに将来なっていきたいと思っています。

将来的にイメージするバンドになる為に今何が1番必要だと考えられていますか?

曲作りも大切ですし、あとはやっぱり「言語」ですかね。色んな国を回ると日本では簡単に「想い」を伝えることができていたんだなぁと気付かされますね。言葉を超える自分たちのパフォーマンスにプラスして「言語」を身につけられたら、伝わり方も無限大になりますよね。そういった意味で、メンバー全体で勉強できたらいいなと思います。まずは英語をちゃんと共有できる空間というのを作っていかないといけないですね。

英語の発音が素晴らしいTAKAさんですが、発音のコツがあれば教えてください。
ONE OK ROCK TAKAさんインタビュー | VANJA

僕も喋れるようになったのは去年からですし、学生時代から英語の勉強も全くしてこなかったので、あまりアドバイスらしいことは言えないのですが…でも、1つ言えるとしたら日本人って海外にいても少し閉鎖的なところがありますよね。海外に住んで最初の3ヶ月間なんて耳も閉じて、気持ちも遮断してしまったりして…そういった遮断している「気持ち」と「耳」、そして体の穴という穴を全部全開にして自分から溶け込んでいこうとする力がまずは大事だなと思います。また、どの国に行っても日本人の発音する英語が認知されていないので留学されている方には頑張って海外でアピールしていただきたいですね。これがJapanese Englishだ!みたいな。Japanese Englishの認知度が上がれば、それはそれでかっこいいカルチャーになると思います。

最後に読者の方たちへメッセージをお願いします。

僕らのように海を超えて、海外で音を鳴らすっていうのは今までの日本の環境から考えるとすごく難しいことだったと思います。今はそれができる世の中になってきているのが素晴らしいことですし、これを機に僕らもカナダのもっといろんな場所に行きたいと思っています。そして世界で活躍できる日本人がもっと増えていけばいいなと。それができる世の中になっていると感じますし、そういったスピリッツを持っていただけると嬉しいなと思います。


ONE OK ROCK ライブレポ

ONE OK ROCK TAKAさんインタビュー | VANJA
開演予定8時を少しすぎた頃、会場の照明が暗さを増す。「わっ」という声と共に観客の期待が一層膨らむ。少し間を空けて、ドラムのTOMOYA、ベースのRYOTAが登場。そして、ギターのTORU。ドラムとベース、ギターのサウンドの中、徐々に高まる観客のテンションはボーカルのTAKAの登場で一気に頂点に達した。

今回のアルバムタイトルにもなっている「35xxxv」で始まったライブ。「Take me to the top」「Memories」と3曲続けて駆け抜ける。TAKAが片手を高々と上げる度に観客も呼応し合う。少しのインターバールの間にも観客のテンションは収まることなく、手拍子は鳴り止まない。TAKAがようやく口を開き「All right guys!」「Put your hands up!」と観客に呼びかけ、会場のボルテージは徐々に上がり、高まりきったところへ「Deeper Deeper」へと続く。ライブの中盤の「Heartache」ではTAKAがアコースティックギター一本でしっとり歌いあげ、会場もコーラスに参加。そして、「Decision」のイントロと共に会場はまたアップテンポな雰囲気に飲まれていく。後方からTOMOYAの重厚なドラムス、そしてその上に折り重なっていくRYOTAのベース、TORUのギター。完璧なサウンドの上にTAKAのボーカルと、重力を感じさせないほどの身軽さで舞台を駆け巡り、観客との距離を縮める。全てが完璧にマッチしたライブは「Mighty Long Fall」で一旦幕を閉じる。

観客のアンコールの声に応えて、再登場したのはアコースティックギターを抱えたTORUとTAKA。TORUのサウンドと共に歌い上げられたのは「Wherever you are」。日本語歌詞の部分も会場全体で歌い、この日1番の一体感が生まれた瞬間だった。そしてメンバー全員で「Paper Planes」「NO SCARED」を披露して約1時間半のライブは終了。メンバー全員の達成感溢れる爽やかな笑顔は、この一年半の成果とトロントのファンとの絆をより一層確かなものにしたという自信の証に違いない。

ONE OK ROCK TAKAさんインタビュー | VANJA

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